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自室を美術館へ:80年代オーストラリア人クィアのアイデンティティ

自室を美術館へ:80年代オーストラリア人クィアのアイデンティティ

Q: 寝室のような個人的空間をクーニーハンギャラリーのような公共の場に移したのには、何か特別な意味がありますか? A: 公共の場で個人や私的な経験をシェアすることが、芸術家にとって重要だと考えています。特に芸術家たちがマイノリティであれば、更に重要です。なぜならば、彼らの人生経験は必ずしも主流メディアや普段の広告に現れないからです。ここ数十年間でクィアの権利とイメージが大きく変化し、改善されましたが、私たちの物語と経験をもっと多くの人に知らせる必要があると思います。安全なクィアの空間で私の...

June 12, 2024
私の、あなたの、そして私達の記憶を保存するためのMIO

私の、あなたの、そして私達の記憶を保存するためのMIO

未来への展望-MIOの次のステップ 現実的には、MIOは始まったばかりで、限りなく続くことを望み、さらに、この空間の位置づけが創立者の世代に限らないことをも望んでいる。おそらくそれは、プロジェクト自体が特殊であり、活動主義から生まれたこの博物館は一般的では無いからである。対照的に伝統的な多くの博物館は制度主義から誕生し、すでに語られている話を伝えるものだ。だが、今では語られざる足跡や忘れられる危険のある足跡を伝えるために、さらに多くの博物館が建設されている。 ヒメネス氏も、博物館を維...

June 18, 2024
活動の力 2023 FIHRM-AP共鳴する人権〜年次総会記録(下)

活動の力 2023 FIHRM-AP共鳴する人権〜年次総会記録(下)

まとめ 今回の年次総会では、アジア太平洋地域の博物館と文化団体の人権問題に取り組む挑戦的精神が明らになり、権力を恐れず、また、現状に満足することなく、私たちが信じる人権尊重という価値のために奔走し、奮闘し続ける方針を示した。発表者がもたらした事例と研究を通じて、博物館の活動がここ数年の間に携えた大きなエネルギーを目撃することとなった。それぞれの国と地域では脈絡が異なる部分があるとはいえ、積極的に行動し、多方面で友好関係を結び、協力して実践するという3点を、共通の核心的概念とすることができる...

January 09, 2024
活動の力—2023 FIHRM-AP共鳴する人権〜年次総会記録(上)

活動の力—2023 FIHRM-AP共鳴する人権〜年次総会記録(上)

※注釈: 注1:イギリスのリバプール国際奴隷制博物館は2015年にコンゴ改革協会(the Congo Reform Association)と共同で「ブルータル・エクスポージャー・ザ・コンゴ」という展示を行い、コンゴ人がベルギー国王レオポルド2世の植民地政策により搾取と残虐行為の被害を受けたことを記録した。 注2: ニューロダーバーシティとは、個人レベルの神経発達を多様性として受け入れようという概念。神経発達と関連した様々な症状、例えば過動と注意力不足、トゥレット症候群、発達性言語障...

January 09, 2024
アイヌとして、生きる ――祖母の教えと博物館で伝えたいこと――

アイヌとして、生きる ――祖母の教えと博物館で伝えたいこと――

アイヌとして生きる ——伝える—— 私が2013年に勤め始めた「アイヌ民族博物館」は、ウポポイの前身となった博物館で、約60年前から、ウポポイが建つ同じ土地に、観光のための施設として始まり、白老のアイヌ自身によって運営されてきました。白老町という土地は、私が生まれ育ったむかわ町と同じく、古くからアイヌ文化が根付いている土地で、この博物館は長い間、白老のアイヌ文化を伝承・発信してきました。 私が初めてポロトコタンに訪れたのは、9歳か10歳...

Auguest 29, 2023
圧力下の博物館―政府、コミュニティ、自主権との力比べ FIHRM2022年会の要点記録

圧力下の博物館―政府、コミュニティ、自主権との力比べ FIHRM2022年会の要点記録

   演説はサミ族を主要対象とするが、種族の差別問題は世界中の各所に存在し、文化の差異が隔たりの主な核心である。人々は少数種族への不理解により嫌悪、恐怖、同情心などの気持ちを生み;少数種族はほかのコミュニティの社会文化への不理解により融合しにくい、従って双方が十分に互いの文化を理解することは種族平等の重要な一環である。   この他、少数種族には差別を受けると社会融合しにくいに止まらず、最悪の場合には厳重な打撃に出遭う、検討会中にローラー.ペレス.ディアツ(Laura Pére...

November 28, 2022
水平社創立の思想を共有し、あたたかい世界を

水平社創立の思想を共有し、あたたかい世界を

作者紹介:【駒井忠之】 1972年日本国、奈良県御所市生まれ。1998年の水平社博物館開館から学芸員として勤務し、2015年館長に就任。国際人権博物館連盟や「世界の記憶」などの事業を通して水平社創立の思想を世界に発信している。神戸女学院大学で人権論を担当している。共著に、新版『水平社の源流』(解放出版社、2002年)、『水平社宣言の熱と光』(解放出版社、2012年)、『近代の部落問題』(『講座 近現代日本の部落問題 1』、解放出版社、2022年)。 博物館紹介:【水平社博物館】 ...

November 28, 2022
「非遊記」 歌謡と現代アートに労働者の生命の物語を織り交ぜる

「非遊記」 歌謡と現代アートに労働者の生命の物語を織り交ぜる

終わりなき抵抗の精神   歴史は我々に告げる。平等な権利を勝ち取る道にはいつも困難が満ちていて、それはまた、いばらの道への挑戦でもある。この展示の企画会議を始めた頃、企画チームはモーラム・バンク(Molam Bank、藝術家の仮名)の作品を取り入れるか否かについて各側面から評価し、考慮していた。モーラム・バンクがこれまで得意としてきたのは、底辺の抗争者が政府や皇室を批判する声を創作で歌い出すことだ。彼は、2015年から何度も投獄され、長い間環境の悪い監獄の中に置かれ、そして...

September 23, 2022
コロナ禍のインドネシアにおける人権の実現

コロナ禍のインドネシアにおける人権の実現

参考資料 インドネシアBBCニュース、2020年3月16日、“Virus corona: Jokowi umumkan langkah pengendalian Covid-19, tapi tanpa komando nasional.” インドネシアBBCニュース、2020年8月23日、“Juliari Batubara divonis 12 tahun penjara.” インドネシア共和国中央統計局、2021年。 イ...

September 23, 2022